情報入手窓口の多様化
視覚障害者が情報を得る窓口は、技術の進歩とともにどんどん多様化してきています。
ただ、それを歴史的に見るとき、目の見える人の環境との比較で見ていく必要があります。
少し歴史的に振り返って見ましょう。
1. 1500年以前
晴眼者:言葉、手書き文字
盲人:言葉
この時代は、手書き文字が読めないだけハンディがありましたが、見えていても文字が読めない人は多かったので、情報格差はさほどではありませんでした。
2. 1500~1850年
晴眼者:言葉、手書き、印刷
盲人:言葉
この時代は印刷技術が発明され、晴眼者の情報環境がぐんとよくなったため、情報格差がどんどん広がって行きました。
3. 1850~1940年
晴眼者:言葉、手書き、印刷(図書、雑誌、新聞)
盲人:言葉、点字
1825年にルイ・ブライユによって点字が考案され、19世紀後半には欧米で徐々に利用されるようになって行きました。
日本でも1890年に日本点字が制定され、その後、視覚障害者の世界に普及してきました。
この時代は、印刷でぐんと開いた情報格差を、点字で何とか少しでも縮めていこうという時代でした。
しかし、晴眼者の世界では新聞が普及するなど、印刷をより効果的に利用するようになってきました。
4. 1940~1985年
晴眼者:言葉、電話、手書き、印刷(図書、雑誌、新聞)、録音、放送(ラジオ、テレビ)、映画
盲人:言葉、電話、点字、録音、放送(ラジオ、テレビ)
録音が視覚障害者のために利用され始めた時期を一般化するのは難しいのですが、1934年に米国でソノシートに図書を録音した「トーキングブック」がスタートしたので、一応、1940年を一つの区切りとしました。
日本での録音の視覚障害者向けの利用は、1957年(昭和32年)からです。この頃はオープンリールでしたが、1970年代に入ってカセットテープが登場し、録音図書の普及に拍車がかかってきました。
よって、録音メディアとしては、ソノシート(米国のみ)、オープンリールテープ、カセットテープと進化してきたことになります。
5. 1986~1996年
晴眼者:言葉、電話、手書き、印刷(図書、雑誌、新聞)、録音、放送(ラジオ、テレビ)、映画、パソコン
盲人:言葉、電話、点字、録音、放送(ラジオ、テレビ)、映画、パソコン
この時代は、パソコンが常法処理手段として加わってきました。
晴眼者の場合にはテキストファイルやワープロで作成したファイル、視覚障害者の場合にはテキストファイルとともに点字データファイルも重要な情報源として加わってきました。
視覚障害者はパソコンで文章を書くようになり、点訳者はパソコンで点訳するようになりました。
6. 1997年以降
晴眼者:言葉、電話、手書き、印刷(図書、雑誌、新聞)、録音、放送(ラジオ、テレビ)、映画、パソコン、インターネット
盲人:言葉、電話、点字、印刷(図書、雑誌)、録音、放送(ラジオ、テレビ)、映画、パソコン、インターネット
この時代は、インターネットがさらに有力な情報源として加わってきました。
また、印刷物を全盲者が自分で読むということが現実になってきた時期でもあります。
晴眼者の世界ではWindows95が1995年秋にリリースされてから急速にインターネットが一般化してきました。
視覚障害者の場合には、1997年の秋に日本IBMからホームページリーダーが発売され、ホームページを音声で聞く環境が整いました。
さらに、OCR技術の発展により、1996年秋に「ヨメール」や「よみとも」などの活字印刷物を合成音で読み上げるソフトウェアが登場してきました。
その後、印刷物を音声で読み上げる読書機も開発され、盲人の情報源の中にも印刷物が組み込まれました。
しかし、新聞は読むべき個所をセットできない、レイアウトが複雑すぎて正しい順番で読み上げることが困難などの理由で、全盲者がOCRを用いて独力で読むことはできません。新聞の場合には、新聞社サイトでの情報を音声プラウザで閲覧できることにより、環境が大きく改善されています。
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