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春うらら
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『さなぎの時代』レポート(2)

 本文に入る前に、ちょっと語らせてください。
 先週は、急にコラム欄をお休みしてしまい、大変失礼しました。「鬼の霍乱」と言われそうですが、寝込んでしまいました。
 じつは、私が芸名を決めるに際してその音だけいただいて当て字させていただいたという、敬愛して止まない舞台人、元宝塚花組トップスターの大浦みずきさんが、去る11月14日に53歳の若さで他界されたのです。肺がんでした。
 その訃報を受けて以来、毎日毎日思い出しては涙に暮れているうちに、体のほうもまいってしまったようです。今週に入り、ようやく体調の回復と共に立ち直ることができてきたところです。
 他のメディアでも書いたのですが、いつまでもめそめそせず、新たな舞台に向けてちんと立ち上がることこそ、彼女への最大の供養になり、いつしか私自身が死を迎えたときに、彼女に恥じることなく旅立つことができるようになるのではないかと、そう考えるようになれました。
 そして、ようやく心から言えるようになりました。「大浦さん、私に舞台に立つ勇気と希望を与えてくださって、本当にありがとうございました!!どうぞ、安らかに眠ってください。心からご冥福をお祈りします!」

 さて、ここからは前回・先々週のコラムの続きです。
 去る11月7日・8日に行いました、私の所属する『演劇結社ばっかりばっかり』の芝居公演『さなぎの時代』のご紹介です。

 次に、母親聡子がピアノの出張稽古先から連れ帰った青年・杉山あきらが、初めはさわやか好青年として悠稀の部屋に現れますが、聡子が姿を消したとたん、「お前、昼間っからベッドに埋もれてるなんて、スケベなヤツだなぁ!」と、いきなり悠稀のタオルケットを引っぺがします!
 のみならず、彼は、「かーぐわしいー百合の花ー」と口から出任せの歌を裏声の高音で歌い始めます。
 母聡子の音大の後輩に当たるというこの青年が、やけに威勢が良く、福祉にも詳しく、そして母と親しげであることにくやしさを感じる悠稀。
 ところが話が進んでいくと、あきらは全盲の声楽家であることが判明します。

 このあきら役を担当したのが、私の10年弱前からの大事な友人・佐藤敏美さんでした。細身で長身、まろやかな低音の声の彼女の陰のニックネームは「オスカル様」。その中性的な魅力でまたまたファンを増やしたようです。ここ数年前から取り組んでいる市民ミュージカルで鍛えてきた歌唱は綺麗なファルセットもよく通る地声も生かされていて、歌手であるあきら役にぴったりでした。
 また、彼女は晴眼者なのですが、私たちとの付き合いも長いこともあり、視覚障害者に混じって視覚障害者を演じていても、さほど違和感はなかったようです。
 (さすがにその逆、つまり、視覚障害者が晴眼者に混じって晴眼者を演じるのは、お客様に対しての違和感は否めないので、うちの劇団ではやりませんが)

 この公演は、このメルマガの発行元でもある(株)アメディアが協賛に入ってくださていましたが、あきらはアメディア商品を初めとする視覚障害者向けIT関連機器の説明も含め、悠稀に新しいことをいろいろと教え、風のように彼の中の霧を吹き払い、太陽のように彼を暖め、凍てついた心を溶かしていきます。

 その後、エリカとの波乱なども含めて、話はそっちこっちに転がりながらも、着実に明るいほうへと変化していきます。
 この明暗というか暗明(?)は、照明の工夫でさらに強調されていました。というのも、ストーリーの最初のほうでは、照明はほとんど悠稀自信のことしか映し出していないのですが、心に映る風景や人の顔などが、だんだんはっきりしてくるにつれて照明もはっきりとした物になっていくのです。
 また、その様子を含め、このストーリーが映画であるという体で描かれている芝居ですので、冒頭で音声ガイド製作を依頼された“大輔”が、舞台上の別空間に小さなデスクとその上にポータブル型のDVDプレイヤーを置いて、その場で適宜音声ガイドを挿入したり、客席に向かって「音声ガイド」についての説明を加えたり、自分の感想を述べたり、ときには登場人物につっこみを入れられたりしながら、狂言回しの役割も担って話が進んでいくのでした。

 と、今回はここまでです。
 次回でこの話題はラストになる予定です。そう、まだ私が登場してないってこと、読者の皆さんはお気づきでしたか?(笑)

(つづく)


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 15:58