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春うらら
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『さなぎの時代』レポート(3、最終回)

ついに、『さなぎの時代』の公演から一月以上過ぎてしまいました。早いものですねぇ!

 ということで、この話題もここまでで終わりなのですが、今回は客演で重要な役割を担ってくれた“彼女”の文章もありますので、最後までお読みいただければ幸いです。

 さて、私のやった役、五十嵐由香奈(いがらし ゆかな)が登場する経緯を話そうとすると、物語の核心部分に触れてしまうので、簡単にいきます。
 由香奈は、中途失明で、あきらの盲学校時代のルームメイトだった女性です。今は、都内にある「アイゾーン」というITショップで働いています。(笑)芝居の後半に出てきて、悠稀の部屋のパソコンにスキャナをつないだり、ソフトをインストールしたり、そして使い方の指導までしていく、ほんわか明るいお姉さんといった役どころ。一部の友人からは、「めーたんが今までやった役の中で、一番めーたん自身に近
いイメージだったね」と言われました。(てれ笑)
 また、最近知り合ったばかりの晴眼者の友人からは「なんであんなにしゃきしゃきセッティングできるの?」と驚いてもらえました。「なんちゃってセッティング」だったんですけどね。(笑)

 そして、これはもう、超核心部分なので説明をオミットすることも大変なんですが、由香奈の弟(原作では兄)で、実は悠稀のスキー仲間だったことが判明する五十嵐貴也(いがらし たかや)が、悠稀に対する手紙を読み上げる場面が出てきます。
 あきらという存在の登場と共に、この手紙が悠稀を変える物になっているのですが、この貴也を演じたのが、ばっかりばっかりレギュラーメンバーの実力派・石津正幸でした。
 芝居巧者な石津は、今回は細かい役をいろいろ担当していましたが、この最後のほうに出てくる貴也がメインです。
 他には、劇外劇の喫茶店のウェイター、悠稀に失明宣告をする眼科医、そして本人も周りも一番楽しんでいた謎のタクシー運転手を演じていました。運転手は、毎回のアドリブがとにかく楽しかったので、2回観にいらしてくださったお客さんも、新鮮な楽しみを得られたことでしょう。

 というわけで、10年前に『メディアナウ』に連載させていただいた拙作は、和風まくだ煮Lのアイディアがギュギュッと詰まった脚本と、8人の素晴らしい仲間たちのアンサンブルの良さで、活き活きとした素敵な舞台となりました。

 この場をお借りして、素敵な仲間たち、関わってくださった全てのスタッフさんたち、協力・協賛してくださった方々、そして当日観にきてくださった皆様に、心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました!!

 また、今回お越しいただけなかった皆様も、私たちはいつでもお待ちしておりますので、次回の公演にはぜひいらしてくださいね!そして、視覚の有無を超えて、共に芝居を作る仲間たちを、共に楽しむ客席の雰囲気を、ぜひ味わってみてください。

 では最後に、今回客演で入ってくれた私の親友、佐藤敏美さんからのメッセージを掲載させていただいて、連載を締めたいと思います。


【「さなぎの時代」で生きて。】
 この脚本の原作である「さなぎの時代」を美月さんから読ませてもらったのは、彼女と知り合ってから、まだ日が浅かった頃。
 作品中の人々のあたたかさ、勢いのある展開は、まさに美月さんのひととなりを現すように心地よく、物語がすーっと心に沁み込んできたことを思い出します。その小気味よさは、脚本となり、さらに進化したお芝居に転じ、大成功で公演を終えました。

 このたび配役して戴いた「あきら」の「先天盲で声楽家」という設定は、たいへん難しいものでしたが、それらを模索し、「私の中にいるあきら」にあてはめていく作業は、思い悩みつつもやりがいのある大きな喜びでした。
自分にないそれらの特徴について考え、感じようとすることは、そういった特徴を持つ友人達に想いを寄せることでもあったからです。

 そして、公演を観た友人達の感想、「視覚障害者向けと聞いていたが、お芝居は内容についていけないことが多い私向けでもあった。
舞台や状況の説明で楽しめた」「小学生の子どもが心配だったが、帰りの電車では笑顔で会話が弾んだ」更には、公演一日目に若いお嫁さんと観劇した友人が「良かったから」と、二日目には高齢のお母様を伴って、再度足を運んでくれた事などは、この公演が視覚の有無に限らず、様々な人に柔軟に受け入れられ楽しんでもらえた証として大切な宝物です。

 このような柔らかな想いと楽しい笑いにつつまれた公演に招かれ、「あきら」として生きることができたことに心から感謝しています。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 17:29