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春うらら
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一夏の香ばしい出来事=笑っちゃうほどの差別事件

 あんまり良い話じゃないから、不愉快になる方がいたらごめんなさい。
と予めお断りしておかねばならないような話題です。

 お盆のラッシュに巻き込まれないように、ちょいと前倒しで福島県いわき市の実家へ
里帰りしてきました。相方のDとの2度目の里帰りは、
我が弟と共に3人で遊び倒した楽しい3日間でした。
 その帰途は、常磐線の各駅停車を乗り継いでの気ままな貧乏旅。
いわき駅で駅弁を買い損ねた私とDは、水戸駅での乗り継ぎの際、「印籠弁当」という、
いかにも水戸らしい駅弁を購入しました。
 で、やってきた電車に乗り込むと、そこはロングシートのみの車両で、駅弁を食べ
るのにはあまりにも不向き。
そこで、大急ぎでグリーン車の向こう側の4人がけボックスが並ぶ車両に移動しました。
 ところが、こちらは既にほぼ埋まっています。
二人で座るなんて、なかなかできそうにありません。
しかたがないので、つり革に掴まって揺れていたのですが、
Dが一つだけ空いている席に私を座らせてくれました。
 そのとき事は起こったのです!
 座ったとたん、プーンと鼻に付く嫌ーな臭い!
 「あれ?そう言えば、印籠弁当に納豆が入ってるって言ってたよね。
それ臭ってきちゃったのかなぁ・」
 私がいぶかしんでいると、私の隣に座っていた人物の方から、パサパサパサパサと
いう連続音が聞こえてきました。そして、悪臭はさらに増していきます。
 「違うよ、弁当のせいじゃないよ。悪いけど、もう1回立って。」
 と言いながら、Dが私の手を引っ張ります。驚いて立ち上がった私の耳に、彼がさ
さやいてきた言葉を聞いて、私は思わず耳を疑ってしまいました。
 「隣のオヤジが、靴脱いで臭そうな足を出して、ウチワでそれを仰いでるんだよ。
俺らに座らせたくないらしい。前の席に荷物置いて、3人分占領してるしね。」
 そう言えば、私が立ち上がろうとしたらパサパサという音は止んでいたのでした。
 大変不愉快だったのですが、やがて別な席を二人分確保することができて、
無事印籠弁当を口にすることができました。みると、納豆は完全密閉された容器に入っていたので、
臭うはずはなかったのでした。
それに、この納豆の和え物は、さっきの臭いりずっと美味しそうな香りでもあったのです。
 さて、件のオヤジ、ここが腹立たしいことなのですが、
その後乗り込んできた青年やお嬢さんがいたのですが、
意識的に悪臭を撒き散らすことなく、おとなしく座らせてあげてました。
(もっとも、そのお嬢さんもすぐに席を立ってしまったところをみると……??)
してみるとこれは、もしかすると、久々の露骨な差別だったのではないか。
私が座っていた間中パサパサパサパサとやり続けていたことを思えば、
そう解釈せざるを得ません。
 楽しい里帰り旅行の終わりに、こんな不愉快な経験をしてしまったのですが、
私は、心の中で密かに「納豆ジジイ」という名をそのオヤジに授け、
笑い話にしてしまいました。
 人々の倫理観が差別感を駆逐しつつある明るい未来に、
あの中年男はどんな生き方をしていくのだろうかと、ちょっと先行きまで心配してしまう私は、
はてさてちょいとお人よしなんでしょうかね。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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