盲導犬、知ってるつもりでも……
10年くらい前から、盲導犬ユーザーの友人との付き合いができました。
一緒に歩いていると、本当に様々な経験をします。
怖がって避ける人、かわいらしさに惹かれて触ろうとする人など、反応はいろい
ろなんですが、どちらにしても、盲導犬ユーザーにとっては、心安からぬ存在です。
もちろん、ハーネスを着けて視覚障害者を誘導している、あるいは、待っている状
態の盲導犬に触ったり声をかけたりしたら、盲導犬自体が意識を散らしてしまいま
す。意識を散らすと言うことは、視覚障害者の安全が直接的に脅かされることにも
なるわけです。だから、不用意に声をかけるのもNG。
飲食店などで、食べ物を与えようとする犬好きなおじさんなんていうのも、大変
やっかいな存在です。これは、気が散るだけでなく、異質な物を食べさせてしまう
ことによって、お腹の状態に影響を与え、正しいお仕事=視覚障害者を安全に導く
ことができなくなるかもしれないし、指示を出す立場の視覚障害者のユーザーさん
との間でのルールにのっとり、犬自身も自分を律して行こうとする姿勢を、誘惑し
て崩してしまうことにもなるのです。
とはいえ、やはり友達ともなれば、ハーネスを外したただのわんこになっている
ときにも遭遇することはしばしばなので、楽しく遊ばせてもらうこともあるんです
けど。
と、なんだか偉そうに盲導犬についての知識を書いてしまっていますが、これで
も、ときどきユーザーさんに不快な想いをさせてしまうことがあるのです。
つい先日も、友人Eさんが、映画館で、「トイレに行くから、預かってて」と私
にリードを託しました。寂しがった盲導犬が、彼女を追いかけようと、リードをピ
ンと張ってつっぱるので、「すぐ帰ってくるから、一緒にお留守番してようね。」
と話し掛けてしまったのです。そしたら、「あ、お留守番は禁句だよ。本当に暫く
置いていかれるような気持ちになって、逆効果だから。」と言われて、納得すると
共に、すっかり盲導犬を理解したつもりになっていた自分を、思いきり反省してし
まいました。
「知ってるつもり」に頼らず、常に、盲導犬のことを理解しようと務めていかな
ければと思った小さな出来事でした。